日本最強の虫・昆虫ランキングベスト10

昆虫は地球上で最も種類が多い生き物であり、日本だけでも約3万種が知られています。
それ故に、昆虫の中には人間は持つことができない、ユニークですごい能力を持つものがたくさんいます。
というわけで、今まで3,000種以上の昆虫を観察してきた僕が「最強の昆虫」について考えてみたいと思います。
なお、実際には彼らが正面から戦うことはほとんどなく、その強さを活かすには状況や相手、フィールドなどによって変わってくるのですが、そのすごい強さの秘密・根拠について紹介していきます!

執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア
全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。
目次
最強の虫・昆虫ランキングベスト10
10位 オサムシ

アオオサムシ
「オサムシ」の仲間は土壌生物(土や枯れ葉などで生活する生物)の中で食物連鎖ピラミッドの最上位に君臨する昆虫です。
その主な獲物はミミズやカタツムリなど。
※オサムシ科の中で最大級の種としては「マイマイカブリ」がいるのですが、どのオサムシの仲間が最強なのかは甲乙つけ難いので、ここでは「オサムシ」という総称を挙げさせていただきました。
ほとんどのオサムシの仲間ははねが退化しているため空を飛ぶことはできませんが、硬いはねを持ち、高い防御力を持っています。
空を飛ばないが故に地表を徘徊し、その大あごで獲物に食らいつきます。
またオサムシの仲間は、危険を感じた時には腹部の先端から「メタアクリル酸」を含む液体を、捕食者の顔面に向けて噴射します。
人もこの液体を浴びると皮膚がヒリヒリと痛み、もし目に入ると激痛のようです。
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9位 シオヤアブ

シオヤアブ
シオヤアブは「ムシヒキアブ科」というグループに属する、肉食性のアブです。
ムシヒキアブの中でも大型の種で、最強クラスの戦闘力を誇ると言われているのが、このシオヤアブ。
そのシオヤアブが狩りをする際の戦術は「奇襲」。
植物の葉の上や杭の上で獲物を待ち伏せし、ターゲットが見つかったら相手に向かって高速飛翔。
背後からその鋭い口吻(口器)を突き刺し、その口吻で体液を吸います。

獲物を捕らえたシオヤアブ
その獲物として、時にはスズメバチさえもがターゲットになることがあります。
ちなみにムシヒキアブのターゲットに人間は含まれていないので、人が刺されることはありません。
▶︎ 実は刺すアブは一部って本当?人を刺すアブと刺さないアブについて紹介
8位 スギハラクモバチ

スギハラクモバチ
スギハラクモバチは狩りバチの仲間ですが、その狩りの対象が驚き。
なんと「アシダカグモ」を狩るのです。
アシダカグモと言えば、脚を含めた全長が10cmを超えるほどの大型のクモ。
屋内に出ることもあるので、見たことのある方はその巨大さがイメージできると思います。

アシダカグモ
アシダカグモ自身、肉食性の生き物であり結構大型のゴキブリなども捕食するのですが、スギハラクモバチはそんな大物を仕留めてしまうのですね。
その狩りには、腹端についた「毒針」を使います。
毒針を使って獲物に麻酔を打ち込み、仮死状態にして動けなくします。
こうして動けなくなったアシダカグモを巣まで運び、幼虫のえさとするのです。(えさの鮮度を保つため、殺すのではなく動けなくする)
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7位 カブトムシ

カブトムシ
強い虫として外せないのが「カブトムシ」ですよね。
強力な足腰と頭部の筋肉によって繰り出される「すくい投げ」は見事の一言。
また、敵の攻撃を受け付けない「硬い装甲」も持っており、攻撃だけでなく守備も兼ね備えた昆虫です。
その強さの証明として、夏の初め頃はノコギリクワガタなどの大型のクワガタが樹液場の主役ですが、真夏になるとカブトムシに主役の座がバトンタッチします。(カブトムシがいない時期になると、またクワガタが出てきます)
なお、このようにとても強いカブトムシですが、その強力な武器であるツノは、あくまで相手を樹液場などから追い出すために使われます。
肉食性の虫とは違い、相手を仕留めるためのものではありません。
このあたりが、虫ごとに強さにも多様性があり(武器の用途・目的が異なる)、単純比較にならなくて面白いわけですね。
6位 オニヤンマ

オニヤンマ
オニヤンマは国内最大級のトンボで、全長10cmほどになります。
鬼パンツのような配色の体が、その名前の由来ですね。
トンボは空中での行動が非常に得意な虫たちです。
中でもオニヤンマの飛行速度はなんと時速70kmにもなり、急加速や急旋回、ホバリングもできるなど、空中戦においてはパーフェクトに近い能力を持ちます。
昆虫界においては、「空の覇者」と言っても過言ではないでしょう。
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5位 オオスズメバチ

オオスズメバチ
オオスズメバチは世界最大のスズメバチであり、最強のスズメバチとも言える種です。
危険なハチとして、人からも恐れられている昆虫ですね。
実際、ハチによる人の死亡事故は毎年20件ほどあり、その原因となった種はキイロスズメバチかこのオオスズメバチがほとんどのようです。
オオスズメバチによる被害が多い理由としては、攻撃性が強い上に「毒の量」も多いためです。
また、スズメバチは「社会性」を持つ昆虫で、働きバチは群れに危険が及ぶ場合、何よりも優先して攻撃をしてきます。
集団でその強力な毒を打ち込まれたら、ひとたまりもないでしょう。
4位 オオカマキリ

オオカマキリ
オオカマキリは国内最大のカマキリで、大きなものでは10cmほどにもなります。
ただでさえ強力なハンターであるカマキリですが、巨大なオオカマキリは特に戦闘力が高い種だと考えられます。
その大きな鎌で捕らえる獲物は、昆虫だけに留まらず、カエルやトカゲ、ヘビなどを捕食することも。
ちなみにオオカマキリは草の葉によく似た姿をしていて、ススキの上などでじっとしているとなかなか気付けません。
これは体を何かに似せる「擬態(ぎたい)」ですが、カマキリの擬態は攻撃型の擬態という特徴があります。
通常擬態は天敵などか見つからないために使われますが、カマキリの場合は「獲物に気付かれないため」の擬態なのです。(防御にも役立っていると思われるため、実際には複合的な効果があると思われます)
気付かぬ間に巨大なハンターに近付かれる可能性があるなんて、獲物側の立場を考えるとカマキリは死神のような恐ろしい存在でしょう。
3位 タガメ
タガメは日本最大の肉食性水生昆虫です。
その獲物となるのは、メダカなどの魚やカエル、そしてカメやヘビすら対象となります。
狩りの時は、力強い前脚で獲物をガッチリとホールドし、口吻を差し込みます。
そしてその口吻から消化液を注入し、肉を溶かして吸います。
もし人がその口吻で刺された場合は、激痛が走り、刺された場所は大きく腫れあがるようです。
水中での俊敏な立ち回りにおいてはゲンゴロウ類などに軍配があがりますが、ストレートな戦闘力においてはタガメは水中最強の昆虫と言えるでしょう。
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2位 クロオオアリ

クロオオアリ
アリというと"弱いものの象徴"として描かれることも多いですが、実は昆虫界では強者の虫です。
あの強者であるスズメバチすら、アリを脅威とみなすほど。
というのも、樹上に巣を作るタイプのスズメバチがいますが、巣と木の枝をつなぐ部分にアリの嫌がる物質を塗って、アリを遠ざけているのです。
また、アリガタハネカクシ、アリグモ、アリバチなど、強者であるアリの姿を真似することで自らの身を守っている虫も数多くいます。
ではアリの何が強いのかというと、その強力な大あごに加えて、「蟻酸」という強力な酸を噴射する能力を持っていること。
そして何よりも「集団攻撃してくる」という点。
単体でも強力な武器を持つ虫であるのに、それらが無数の群れをなして襲い掛かってくるというのは、非常に厄介な相手なのです。
海外では、グンタイアリの列は、猛獣ですらも避けて通ると言われています。
そんな強力なアリの中でも、クロオオアリは日本最大級のアリ。
道端などごく身近な場所にいる種ですが、実は非常に戦闘力の高い虫なのです。
1位 トノサマバッタ

トノサマバッタ
バッタの代表的な行動というと「ジャンプ」。
トノサマバッタはバッタの中でも特に高いジャンプ力を持ち、なんと100mを超えるような飛翔をすることができる虫です。
そんなすごいジャンプ力を持つバッタではあるのですが、肉食性でもなく、敵を攻撃するための武器も持ちません。
今まで紹介してきた虫たちを超えるような強さはなさそうですが、なぜ1位なのでしょうか?
実はトノサマバッタは"ある特殊能力"を持っているのです。
それが「相変異」。
トノサマバッタは「孤独相」と「群生相」という2つの姿を持ちます。
・群生相:体は緑色。はねは短くて脚が長い
・群生相:体全体が褐色。はねが長くて脚が短い
この相は幼虫時代の生息環境によって決まり、幼虫時代の生息密度が低いと「孤独相」になり、生息密度が高いと「群生相」になります。
※相は連続的に変化するようで、どちらの相か2パターンに決まるというわけではないようです
僕たちが普段見ているトノサマバッタの多くは孤独相であり、群生相になるのは稀なようです。

褐色ではねの長いトノサマバッタ
このように、トノサマバッタは環境によって変身をするわけですが、仮面ライダーのごとくその能力も大きく変化するのです。
群生相になったトノサマバッタはより高い飛翔力を持つようになり、性格も獰猛なものに変化します。
より高い飛翔力とはどんなものかというと、なんと海をも超えるような長距離移動ができるようになります。
群生相になったということは、密度が高い=大発生している状態ということ。
空を覆うような大群のバッタがやってきては、周辺の植物をむさぼり食い、食べ尽くしたら次の場所に移動してまたその土地の植物を食い尽くす−−−
という行動を繰り返すのです。
このようにバッタが大量発生して集団移動することを「飛蝗(ひこう)」と言い、それによる被害を「蝗害(こうがい)」と言います。
つまりトノサマバッタの集団飛来は災害レベルの扱いとなっていて、現在の日本ではあまり馴染みはないと思いますが、実は海外では今も普通に起きています。
トノサマバッタと同様の修正を持つサバクトビバッタは、東アフリカや中東で数百億単位の数で各地に飛来し、農作物に甚大な被害を与えているのです。
このように、トノサマバッタは広い範囲の環境に影響を与えるレベルの能力を持つ虫なのです!
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実際の自然界では1対1で正面から戦うことは稀であり、状況やフィールドの影響が大きいので、最強をシンプルに決めることはできません。
ただし今回紹介したように、それぞれの虫がユニークで巧みな能力を駆使してサバイバルしています。
身近に見られる虫の中にも脅威的な能力を持つ虫はたくさんいるので、ぜひ探して観察してみてください!
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