日本に生息するてんとう虫の種類と見つけ方について解説

かわいい虫の代表といえば、てんとう虫(テントウムシ)。
さまざまなサービスや商品でキャラクターとして採用されていますし、幸運のシンボルとして国内外で扱われています。
特に知名度の高い種としては、冒頭の写真の「ナナホシテントウ」かと思いますが、実はテントウムシには実に様々な種がいます。
公園や森でいろいろなテントウムシ探しをするのも、とっても楽しいですよ!
というわけで今回は、「日本に生息するテントウムシたち」を紹介します!

執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア
全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。
目次
日本に生息するテントウムシの種類
幸運のシンボル「ナナホシテントウ」

ナナホシテントウ
多くの人にとって、テントウムシと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、この「ナナホシテントウ」でしょう。
テントウムシははねに黒または白の斑紋を持つものが多く、この斑紋のことは「星(ホシ)」と呼ばれます。
テントウムシではこの星の数が名前の由来になっているものも多く、ナナホシテントウは星が7つであることが名前の由来です。
身近なテントウムシには、農作物の害虫であるアブラムシを食べるものが多くいます。(逆に植物の葉を食べる種もいますが)
そのため、テントウムシは一般的に「益虫」とされます。
ナナホシテントウでは、それに加えて星の数がラッキーセブンであることが、特別良いイメージが持たれるのだと思われます。
さて、このナナホシテントウの見つけ方ですが、樹木よりも「草」にいます。
そのため、目線の高さを探すのではなく、足元を探すと見つかることが多いです。
特に「カラスノエンドウ」のある場所などではよく見られるので、その周辺で目星をつけて探すのがおすすめです。
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さまざまな斑紋を持つ「ナミテントウ」

ナミテントウ
次は「ナミテントウ」または単に「テントウムシ」と呼ばれる種です。
※この場では、総称のテントウムシと呼び分けるため「ナミテントウ」を使います
ナミテントウの「ナミ」とは、"ただの" とか "ありふれた" という意味合いなんですが、実はそんな一言で表せるような虫ではないのが、本種なのです。
ナミテントウは「個体ごとに様々な斑紋を持つ」というのが特徴的で、星が2つあるもの、星が4つあるもの、星が多数あるもの、などがおり…
さらに、はねの地色が黒いもの、赤いもの、オレンジ色のもの、などがいるんです。
例えば、以下も同じナミテントウです。

ナミテントウ(紅型)
まるで別種のようですが、紛れもなく同種なのです。
その証拠が以下。

ナミテントウのペア
そんなナミテントウが見られるのは、さまざまな場所です(ここは「ナミ」のイメージ)。
ケヤキやエノキなどの樹木の上、ナナホシテントウ同様に草の上、手すりや擬木柵でもよく見られます。
ここで紹介したもの以外にも、たくさんの斑紋パターンがあるので、ぜひいろいろな模様を見つけてみてください!
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日本最大級のテントウムシ「カメノコテントウ」

カメノコテントウ
初めて見た時、その"サイズ感"に驚くのがこの「カメノコテントウ」。
例えばナミテントウの大きさが5〜8mm程度なのに対し、カメノコテントウは大きなものでは8〜12mm程度。
なんと、ナミテントウの1.5倍ものサイズなのですね。
そのサイズの違いが影響しているのか、食べるえさも他の種とは異なります。
他の肉食性テントウムシの多くがアブラムシ類を捕食するのに対し、カメノコテントウでは「ハムシ(葉虫)」という甲虫の仲間の幼虫を捕食するのです。
カメノコハムシは、えさとなるハムシの幼虫がいる、エノキやクルミ、ヤナギなどの樹上で見られます。
そのサイズは初めて見ると衝撃なので、一見の価値アリです。
さなぎの姿が奇妙「アカホシテントウ」

アカホシテントウ
「アカホシテントウ」は、はっきりとした斑紋はなく、グラデーションの掛かった赤色があるのが特徴的なテントウムシです。
成虫の姿はシンプルですっきりした感じなのですが、実はさなぎの姿はかなり奇妙。
その姿が以下で、まるで魔物の目のような、ちょっと怖い感じの姿なのです。

アカホシテントウのさなぎ
実はかわいい姿をしたテントウムシも、幼虫時代はトゲトゲの姿のものもいたりして、そのギャップもまた魅力です。
が、アカホシテントウは中でも特に奇抜な姿をしているのが特徴的ですね。
アカホシテントウは「ウメ」の樹上で見られるので、もしトゲトゲの怖い姿のものがついていたら、要チェックです!
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黄色のカラフルなテントウムシ「キイロテントウ」

キイロテントウ
「キイロテントウ」はその名の通り、黄色い姿のテントウムシ。
テントウムシによくある星模様もなく、シンプルに黄色です。
サイズは3.5〜5mm程度と小さく(※)、可愛らしいイメージの種です。
※ただし、テントウムシ科全体で見ると、特別小さいわけではありません
またキイロテントウはその姿だけでなく、"食性"もユニークです。
その食性とは、肉食でも草食でもなく、「菌食」。
植物を病気にしてしまう「ウドンコ病菌」を食べるため、人からは「益虫」として扱われています。
このような食性のため、キイロテントウが見つかる場所は、"ウドンコ病に掛かりやすい植物周辺"が多いです。
具体的には「エノキ」「クワ」などの樹木でよく見つかります。
草食性のテントウムシ「トホシテントウ」

トホシテントウ
「トホシテントウ」は、10個の星を持つテントウムシ。
他のテントウムシの斑紋よりも星が大きく、斑紋の存在感があります。
さて、トホシテントウは一般的なイメージのテントウムシとは食性が異なり「草食性」です。
草食性の昆虫は、農作物への被害をもたらすことが多いため、害虫扱いされがち。
ところが、トホシテントウが食べるのは栽培されない「カラスウリ」や「アマチャヅル」という植物のため、あまり問題視されずに済んでいるようです。
ということで、トホシテントウが見つかりやすいのは、カラスウリやアマチャヅルなどの食草の上。
これらは森や林でよく見られる植物なので、初夏〜夏にこれらの植物を見て回れば、トホシテントウに出会える可能性は高いです。
まるでハロウィンのカボチャ「ダンダラテントウ」

ダンダラテントウ
あれ、草の上にハロウィンのかぼちゃがある!?
と思ってしまう姿なのが、「ダンダラテントウ」。
ダンダラテントウもナミテントウと同様に個体ごとの斑紋変異が激しい種で、中にはハロウィンのような模様を持つものがいるのです。
ちなみに名前の「ダンダラ」も、この斑紋が由来です。(段だら模様)
ダンダラテントウは本州〜沖縄まで分布しますが、斑紋パターンは生息地域によって偏りがあります。
上の写真のようなハロウィン模様の斑紋は、南の地域でよく見られ、例えば関東地方で出会うダンダラテントウの斑紋は以下のようなものが多いです。

関東で見つけたダンダラテントウ
このように、ダンダラテントウの斑紋は地域による違いはもちろん、個体差もあります。
ハロウィン模様も個体によって表情が変わるので、色々な個体を見てみると面白いですよ!
今回紹介したテントウムシは、数多くいるテントウムシの中のほんの一部。
まだまだたくさんの魅力的なテントウムシが暮らしているので、ぜひ探して観察してみてください!
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