ホタルの種類と蛍が光る理由を解説!光らないホタルもいる?

ゲンジボタル

ホタル(蛍)と言えば、「光る昆虫」として人気の虫です。

特にゲンジボタルやヘイケボタルなどは、その鑑賞が各地で「ホタルまつり」のようなイベントとして開催され、夏の風物詩として親しまれています。

このように人にとって馴染み深い昆虫である「ホタル」ですが、実はゲンジボタルやヘイケボタル以外にもさまざまな種類のものがいます。

そしてそれぞれ、ユニークな特徴・魅力を持っているんですよ!(中には光らないものも!)

というわけで今回は、「日本に生息するホタルの種類」「ホタルが光る理由」を紹介します!


執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア

全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。

ホタルはどんな昆虫?

冒頭で紹介した通り、ホタルの最大の特徴と言えば「光る」ことですよね。

ホタルの光は美しいだけでなく、儚げで情緒的であり、まさしく"幻想的な光景"です。

僕が初めてホタルを観察した時は、感動して言葉が出ないほどでした。

ゲンジボタル 光

ゲンジボタルの光

ホタルは明るい場所を嫌い、明るい街灯が多くあるような場所では見られません。(なので都市部ではホタルが見られる場所が減ってしまいました)

そのため、ホタルが見られる環境というのは、非日常的な空間になります。

それがまた、ホタルの飛翔が幻想的に感じられる理由の1つではないかと思います。

ホタルが発光する理由

では、ホタルが発光するのはなぜでしょうか?

それは大きく以下の2つだと言われています。

  1. 成虫が光る理由 = オスとメスが出会うため
  2. 幼虫が光る理由 = 外敵に対する警告(防御)のため

僕達がホタル鑑賞をする時に見ている光は、主に1です。

オスは夜になると発光を繰り返しながら、葉の上などに止まっているメスを探します。

オスはメスに近付くと発光による交信を行い、うまくいけばカップル成立となり、交尾にいたります。

成虫のホタルにとって発光とは、"世代を繋ぐ大事な営み"なのです。

※なお、ホタルの発光については、種類や雌雄によって違いがあり、そのパターンや理由についてはまだ解明されていないことも多いようです

光らないホタルもいる

ここまでホタルは光る昆虫として紹介してきましたが、実はホタルには「光らない種類」もいます。

※ここでは、『ホタル = 「コウチュウ目ホタル科」に属する昆虫』として扱います。

光るホタルの定義は、一般的には「成虫になってからも強く発光するホタル」を指します。

ホタルの仲間には確かに光るものが多くいるのですが、

「幼虫では光るが、成虫になると光らない」
「成虫になってすぐの時だけ光る」

というものもいて、結果的に光らないホタルの方が多いのです。

例えば、以下の「ムネクリイロボタル」は光らないホタル。

ムネクリイロボタル

ゲンジボタルやヘイケボタルに見た目はそっくりですが、成虫はほとんど光らないと言われています。

ちなみに光るホタルは夜行性ですが、光らないホタルは昼行性のものも多く、昼間でも観察することが可能です。

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日本に生息するホタルの種類

日本固有種の光るホタル「ゲンジボタル」

ゲンジボタル

ゲンジボタル

日本人にとって最も馴染み深いホタルだと思われる、「ゲンジボタル」。

ゲンジボタルは日本にのみ生息する、大型のホタルです。胸部の鍵マーク模様が特徴的ですね。

発光は強く、ホタルまつりでも主役の種です。

また発光間隔には地域差があることが知られており、1秒〜4秒間隔があるようです。

同じ種でも、地域による個性があることがわかる好例ですね。

点滅の早い光るホタル「ヘイケボタル」

ヘイケボタル

ヘイケボタル

ヘイケボタル」もゲンジボタルと並んで、代表的な"光るホタル"です。

ゲンジボタルによく似ていますが、胸部の黒い模様は太くまっすぐ中央を突っ切っています。

なお、ゲンジボタルよりも一回り小さい&発光も弱く、それが源氏・平家の関係になぞられて、負けた方の「平家」が名前についたようです。

さらに生息環境もゲンジボタルとは異なります。

ゲンジボタルは林縁の「小川」のような流水環境を好みますが、ヘイケボタルは「水田」や「湿地」のような止水環境を好みます。

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最も身近な光らないホタル「ムネクリイロボタル」

ムネクリイロボタル

ムネクリイロボタル

光らないホタルで最も出会いやすいと感じるのが、この「ムネクリイロボタル」。

初夏の季節、林縁を歩いていると草の上などにいるところを見つけることができます。

配色はゲンジボタルやヘイケボタルと似ていますが、胸部の形や色味が違います。

胸部に赤い斑点「オバボタル」

オバボタル

オバボタル

オバボタル」は、胸部にある赤い斑点が特徴的な、光らないホタル。

胸部が能面の「」に見えることが名前の由来のようです。

オバボタルは平地でも身近に見られるホタルですが、山地などでよく見られる「オオオバボタル」というよく似た種もいます。

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赤いはねに黒い筋がかっこいい「スジグロボタル」

スジグロボタル

スジグロボタル

赤いはねに黒い筋が入るという、他のホタルとは少し毛色の異なるデザインをしているのが「スジグロボタル」です。(光らないホタル)

湧水のある林縁や湿地などで見られます。

生態としては「半水性」のようで、幼虫時代は捕食時だけ水中に入るような生活スタイルのようです。

黒い大型のホタル「クロマドボタル」

クロマドボタル

クロマドボタル

シックな黒い姿が特徴的な「クロマドボタル」。

ホタルの仲間の中では大型の種で、10〜15mm程度あります。(ゲンジボタルくらい)

胸部に1対の透明な模様(窓)があることが名前の由来です。

地域により差はありますが、光るホタルも光らないホタルも「初夏〜夏の間」に観察することができます。

ホタルには、光る種以外にも魅力的なものがたくさんいるので、ぜひ探して観察してみてください!

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