日本の危険な虫ランキング!毒を持つ虫、人を刺す虫【対処法も解説】

オオスズメバチ

森や山など自然の多い場所には、さまざまな生き物が生息しています。

アウトドアでそのような場所に行くと、そのような生き物に出会う楽しみがある一方で…

あまり虫のことを知らなかったり、普段あまり外に出かけない人がアウトドアをする時などは「危ない生き物(虫)がいるんじゃないか?」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか?

しかし危険なものは数多くいる虫の中でも一部であり、ちょっとした知識があれば危険を防げることが大半です

というわけで今回は、「日本で見られる危険な虫と、危険を避ける方法」を紹介します!


執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア

全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。

日本の危険な虫ランキング

8位 サシガメ

ヨコヅナサシガメ

ヨコヅナサシガメ

サシガメは「カメムシ目サシガメ科」というグループに属する昆虫たちです。

肉食性のカメムシで、長い口器「口吻(こうふん)」を獲物に刺して、その体液を吸う習性を持ちます。

ヨコヅナサシガメ 口吻

ヨコヅナサシガメ 口吻

もしサシガメを触ったり捕まえたりすると、その口吻で人間も刺されることがあるのです。

僕は刺されたことはないのですが、刺されると赤く腫れ、その後はかゆみがしばらく続くようです。

サシガメの中でも最近接する機会が多いのが、写真の「ヨコヅナサシガメ」でしょう。

ヨコヅナサシガメは腹部にまわしのような白黒のふちを持つ、大型のサシガメです。

もともと日本にいない外来種(人の手によって持ち込まれた)ですが、今では公園などで最も多く見られるサシガメとなっています。

■対処法むやみに触らない

実はサシガメに限らず、大体の虫の対処法はこれです。

というのは毒を持つ虫であっても、ほとんど防衛のためのもので、自発的に攻撃してくることは基本的にないからです。

このような虫で気をつけることと言えば、うっかり触ったり掴んでしまうこと

ヨコヅナサシガメはサクラやエノキの樹木によくいるので、その付近で座ったり何かに寄りかかるような時は、彼らがいないか確認しましょう。

7位 吸血アブ

アカウシアブ

アカウシアブ

名前に「アブ」とつく昆虫はたくさんいて、ほとんど無害です。

ただ、その中の一部に人を刺すアブ=吸血性(人や家畜の血を吸う習性)のアブがいるのですね。

日本で吸血性を持つアブは、ほぼ「ハエ目アブ科」というグループに属するもので、かつメスのみです。(※さらにアブ科に属していても、吸血しないものもいる)

▶︎ 実は刺すアブは一部って本当?人を刺すアブと刺さないアブについて紹介

ちなみにアブの吸血方法は「皮膚を噛んで、出た血を吸う」なので、「刺される」ではなく「噛まれる」の方が正確かもしれません。

熱と二酸化炭素を検知して近付いてくるので、車にもよく集まります。

ちなみに写真は「アカウシアブ」という種で、山で出会う機会の多い、アブ科の中で国内最大の種です。

■対処法肌の露出を少なくする

アブは他の多くの虫と異なり、向こうから近付いてきます

そのため、刺されても致命的な問題にはならないですが(とはいえ刺されると痛いですが)、ある意味毒持ちの虫よりも厄介です。

しかも僕の経験上では、虫除けスプレーなどもあまり効果がありません。

ということで対処できることと言えば、長袖・長ズボンを着るなどして肌の露出を少なくすること、となります。

また、「」「」に寄ってきやすいようなので、この色以外の服装を着ることも有効です。

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6位 アオバアリガタハネカクシ

アオバアリガタハネカクシ

アオバアリガタハネカクシ

コウチュウ目ハネカクシ科」に属するアリガタハネカクシの仲間には、毒を持つものがいます。

体液にペデリンという毒を持ち、それが肌につくと、やけどした時のような水ぶくれが発生します。

そのため、「やけど虫」と呼ばれたりします。

写真はやけど虫として代表的な「アオバアリガタハネカクシ」という種です。

ところで体液に毒を持つ虫は身近にまあまあいて、春に身近によく見られる「モモブトカミキリモドキ」などもそうです。

モモブトカミキリモドキ1

モモブトカミキリモドキ

モモブトカミキリはカンタリジンという毒を持ち、肌に付着すると炎症を起こします。

彼らは刺激を受けた時に毒を出すのですが、それは捕食者に食べられた時に毒を出して痛い目に合わせることで、以後捕食されにくくする効果があると言われています。

■対処法むやみに触らない

体液に毒を持つ虫たちは、触らない限り害はありません

庭や畑などの草刈りなどではうっかり触れる可能性がありますが、手袋をしたり長ズボンを履くなどで対処できます。

子供の場合は自ら興味で触ることがあると思うので、保護者の方から毒を持つ虫の情報を伝えてあげましょう。

5位 イラガ

アオイラガ幼虫

チョウ目イラガ科」に属する昆虫の幼虫には、毒を持つものが多くいます。

イラガの幼虫に刺されると電気が走ったかのような痛みがあることから、「電気虫」と呼ばれたりします。

※僕も刺されたことがありますが、本当に電気が走ったような鋭い痛みの後に、1時間ほどジンジンという感覚が残っていました。

ガの幼虫の中には他のグループにも毒を持つものはいるのですが、毒を持つ幼虫代表としてイラガを挙げさせていただきました。

捕食者などへの警告のためなのだと思われますが、イラガの幼虫は派手で鮮やかなものが多く、美しい姿のをしているんですよね。

ちなみにイラガの仲間は成虫になるとトゲトゲしい姿ではなくなり、実際に毒もなくなります

アオイラガ

アオイラガ成虫

幼虫時代に毒を持つガの幼虫のほとんどは、成虫になるとイラガ同様に無毒になるのです。

■対処法むやみに触らない

イラガを含む毒を持つ毛虫は、基本的に向こうから危害を加えてくることはないので、こちらから触らなければ問題ありません。

ちなみにイラガは明らかにトゲトゲ姿で分かりやすいですが、問題なのは識別が難しいガの幼虫。

有毒のものと無毒のものがよく似た姿をしているものも多いので、「識別のできない毛虫は触らない」ようにしましょう。

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4位 ムカデ

トビズムカデ

トビズムカデ

ムカデを漢字で「百足」と書くように、多数の脚を持つ虫です。

ただし、実際の脚の数は100というわけではなく、種によって違います。

トビズムカデの脚の数は21対の42本です。

ムカデは危険を感じると防衛のために咬むことがありますが、ムカデは毒を持つため、かゆみや腫れを引き起こします。

稀なようではありますがアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるため、過去にムカデに咬まれたことがあったり、アレルギーを持つ方などは要注意な虫です。

■対処法むやみに触らない、家への侵入を減らす

むやみに触らないことは他の毒虫たちと同じですが、ムカデは家の中に侵入することがあります

ムカデが好きな環境はゴキブリが好きな環境と似ていて、湿度が高くて暖かい場所が好き。

そのため、ゴキブリの侵入対策と同じことが有効になります。

ゴキブリの屋内への侵入経路は、主に玄関や隙間から。

なので家に入る隙間を塞いだり、長時間ドアを開けっ放しにしないなどが有効です。

3位 チャドクガ

チャドクガ 幼虫

チャドクガ 幼虫

チャドクガは「チョウ目ドクガ科」に属し、幼虫は毒毛虫です。

先ほど毒毛虫としてイラガを紹介しましたが、チャドクガは他の毛虫とは異なる、厄介な習性を持つので別順位にしました。

毒毛虫は基本的に無闇に触らなければ無害ですが、チャドクガだけは当てはまりません。

というのは、チャドクガの「毒針毛(どくしんもう)」は目に見えないほど微細なものであり、風によって舞ってしまうのです。

つまりチャドクガに直接触っていなくても、近くを通っただけで、宙に舞った毒針毛に触れて被害を受けることがあるということ。

この毛に触れると、皮膚はブツブツになってかぶれ、1週間ほど激しいかゆみに苦しまされます。(痛くはないです)

僕自身、子供時代含め何度も被害にあっており(おそらく10回以上)、外で皮膚に違和感を感じると「またか…」と慣れてしまうほどでした。

なお、チャドクガの幼虫は集団で行動で行動する習性があります。

チャドクガ幼虫 集団

こんな光景を見たら、その場からすぐに離れた方が良いでしょう。

■対処法注意の案内に素直に従う

チャドクガの幼虫はツバキサザンカなど、公園や生垣などによくある樹木の葉を食べます。

人が多く通る場所にいるので、多くの場合は「チャドクガがいますので、この中に入らないでください」といった立て看板が出ていたり、ロープで囲われていることが多いです。

このような注意が出ていたら、素直に従って中に入らないようにし、近づかないようにしましょう。

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2位 スズメバチ

オオスズメバチ

オオスズメバチ

スズメバチは強力な毒針を持ち、代表的な危険な虫として知られている虫です。

過去にスズメバチに刺されたことがあると、アナフィラキシーショックにより死に繋がる危険性もあります。

実際、ハチによる人の死亡事故は毎年20件ほどあり、クマなどよりもはるかに多い件数です。(クマは被害の多かった2023年でも死亡者6人)

スズメバチは「社会性」を持つ昆虫で、働きバチは群れに危険が及ぶ場合、何よりも優先して攻撃をしてきます。

中でも写真のオオスズメバチは世界最大のスズメバチで、攻撃性が強い上に毒の量も多いです。

死亡事故の原因となった種は、キイロスズメバチかこのオオスズメバチがほとんどのようです。

■対処法巣に近づかない(特に秋は注意)

スズメバチの毒針も自ら攻撃するためのものではないので、基本的にはこちらから危害を加えない限り刺してくることはありません

ただし、自分や群れ(巣)に危険が迫ると防衛のために攻撃をしてきます。

公園や森を歩くときは「」がないか、スズメバチが多数飛んでいないか、を気にしながら歩きましょう。

種によって巣を作る場所は違いますが、多くのスズメバチは木の枝などに巣を作り、オオスズメバチは土の中に作ります。

また、秋(8〜10月頃)は巣の中で女王蜂が生まれる時期。

この時期は特にスズメバチが警戒を強めている状態なので、一層の注意が必要です。

1位 マダニ

マダニの一種

ダニには色々な種がいますが、その中で「ダニ目マダニ科」に属するものには注意が必要です。

マダニはシカやイノシシ、犬や猫といった多くの哺乳類に寄生し、人にも取り付いて吸血する習性を持ちます。

草の上や葉の裏などで哺乳類が通るのを待ち、近付いたら付着して吸血するのです。

ごく小さなマダニがなぜ危険かというと、マダニが媒介する怖い感染症があるためです。

病原体を持つマダニに咬まれると、「SFTS」「ダニ媒介脳炎」「日本紅斑熱」といった危険な病気を引き起こす可能性があり、場合によっては死に繋がる可能性もあります。

もしマダニに咬まれてしまった場合は、皮膚科に行って除去してもらいましょう。

自分の力で除去するのは難しく、無理に取ろうとして口器の一部が残ってしまう可能性があるためです。(僕も2回ほど皮膚科でお世話になりました。)

また、温暖化、シカやイノシシの分布域拡大、そこからの人里の犬や猫・ペットへの寄生などにより、マダニ感染症の脅威は近年範囲を拡大してきており、一層注意が必要な虫です。

■対処法長袖・長ズボンの着用、野外活動後のダニチェック、藪漕ぎしない

マダニが厄介なのは、自ら近付いてくるところです。

ただマダニは基本的にはどんな場所にも生息しているので、屋外で活動する以上はマダニが付着するリスクは0にはできません。

なので、付着されても咬まれないようにすることが重要になります。

まずは付着されても咬まれないように、長袖・長ズボンの着用が有効です。

次に、休憩終了時、野外活動後などに服の上にマダニが歩いていないかチェックしましょう。(マダニは太ももや脇腹、陰部など、皮膚が柔らかい場所を好みます)

マダニは付着してすぐには咬まず、しばらく体の上を歩き回るので、一定時間おきのチェックが有効になるのです。

また、草刈りされていない場所はマダニが多いため、できるだけ草で茂っている場所を歩いたり、藪漕ぎはしないことも予防になると思われます。

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虫の中には危険なものもいますが、ここに挙げた虫への注意と対策をしていれば、ほとんどの危険は防げるはずです。

ここで挙げたことに注意して、安全にお出かけをお楽しみください!

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