秋の夜に鳴き声が聞こえる虫7選!鳴き声と虫の特徴を解説

ハヤシノウマオイ

秋といえば、夜には「虫の鳴き声」がよく聞こえる季節ですよね。

夜に耳を澄ますと、鈴の音のような綺麗な鳴き声だったり、電話音のような不思議な声も聞こえてきます。

ところで、そんな不思議な鳴き声の正体、気になりませんか?

というわけで今回は、「秋に特徴的な声で鳴く虫たち」を紹介します!


執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア

全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。

秋に鳴き声が聞こえる虫7選

ジーー、チョン」と鳴くキリギリス

ヒガシキリギリス

キリギリスと言えば、鳴く虫の代表種。

ジーー、チョン」と鳴きます。

キリギリスは秋(9月頃まで)に見られますが、今回紹介する虫の中では早めに出現する虫であり、実は夏から見られます

また、昼から鳴くという習性があります。

なので、もし草地などでこの特徴的な声が聞こえたら、そこにはキリギリスがいるはずです。

ちなみにキリギリスは厳密には"総称"であり、実は種としては複数が存在します

主に西日本に生息している「ニシキリギリス」、主に東日本に生息する「ヒガシキリギリス」、北海道に生息する「ハネナガキリギリス」など。

例えば以下のニシキリギリスは、ヒガシキリギリスと比べてはねが長く、はねの黒斑が少ない、といった違いがあります。

ニシキリギリス

ニシキリギリス

また、種としては分かれていないけれど地域固有の特徴を持つものが様々存在しています。

このように、キリギリスはバリエーション豊かな虫なのですよね。

これらは姿だけでなく鳴き声にも違いがあるので、地域ごとにキリギリスの鳴き声を聴き比べするのも面白いかもしれません。

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コロコロリー」と鳴くエンマコオロギ

エンマコオロギ

エンマコオロギ

コロコロリー」という、鈴の音のような優しい鳴き声の主が、このエンマコオロギです。

エンマコオロギは日本最大のコオロギ

他のコオロギが10〜20mmほどの体長なのに対し、エンマコオロギは30mm前後あります。

なお、名前の由来は"顔の模様が、閻魔大王の顔を連想させるため"。

エンマコオロギの顔

こんなにいかつい姿をしているのに、あんなに綺麗な音色を奏でてくれるなんて、ギャップ萌えですね。

エンマコオロギは身近な場所に生息する虫で、ちょっとした草むらや空き地があれば見られるので、ぜひ秋はこの美しい鳴き声をご堪能ください!

リーッ、リーッ、リーッ」と鳴くアオマツムシ

アオマツムシ メス

街路樹の上から「リーッ、リーッ、リーッ」と鈴のような大きな鳴き声の正体は、このアオマツムシ。

アオマツムシは鳴き声が大きく、街中の街灯で明るい場所でもよく鳴くため、秋に鳴く虫の中でも、ひときわ存在感の強い虫です。

アオマツムシがたくさん集まっている場所では、まるでセミのような大合唱となることも。単体の鳴き声はとても美しいんですけどね。

ちなみにアオマツムシは姿も美しく、鮮やかな緑色が映えます

さらにオスははねの一部が透明になっており、なんだか不思議で面白い姿をしているのです。

アオマツムシ オス

アオマツムシ オス

なお、アオマツムシは樹上の高いところで鳴くことが多いので、鳴き声の存在感の割に姿を見る機会は少ない印象です。

もしアオマツムシの声が聞こえたら、葉の上などに緑色の虫がいないか探してみてください。

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「チンチロリン」と鳴くマツムシ

マツムシ

マツムシ

チン、チロリン」とユニークな鳴き声を披露してくれるのは、マツムシ。

アオマツムシと同じく「マツムシ科」に属する昆虫であり、名前もよく似ていますが、アオマツムシとは鳴き声も姿も見られる環境も全然違います。

マツムシは背の高い草地などでみられますが、生息地が減少しているようで、現在ではその鳴き声を聞く機会の少ない虫です。

それでもマツムシの鳴き声を聞くチャンスに巡り会うことができたらラッキー!

その不思議で面白い音をじっくりと堪能してみてください。

「ピッピッピッ」と鳴くカネタタキ

カネタタキ

カネタタキ

街中を歩いていると聞こえる「ピッ、ピッ、ピッ」という鳴き声。

その鳴き声の正体が、このカネタタキです。

名前の由来も鳴き声であり、その声が「鉦(かね)を叩く音」に聞こえることから。

ちなみにWebなどでカネタタキの鳴き声を調べると「チン、チン、チン」と出てくることも多いのですが、僕の感覚では「ピッ、ピッ、ピッ」のように聞こえます。

ところでカネタタキは結構身近な虫であり、街中の樹木などにいるほか、"家の中"で出会えることもあります

僕も自宅で、カネタタキがひょっこりとその可愛らしい姿を現した、という経験を数回しています。(どこから侵入したんだろう?)

そんな身近な虫なので声を聞く機会は多いのですが、小さな虫ですから、その姿を知っている人は意外と少ないのかもしれません。

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「ガチャガチャ?」と鳴くクツワムシ

クツワムシ

クツワムシ

クツワムシも鳴く虫として知名度の高い虫です。

夜の林縁で、非常に大きくて特徴的な鳴き声を出します。

かなり離れていても、「クツワムシがいる!」と気付けるほどです。

その鳴き声を図鑑で調べると「ガチャガチャ」と書いてあるのですが、実物の声を聞いてみると「ギュリリリ…!」という感じです。

クツワムシには「管巻(くだまき)」という別名があるのですが、管巻とは「織機のよこ糸を巻き付けること」であり、この時に出る音がクツワムシの鳴き声に似ていることが由来となっています。

織機が動いている動画を探して音を聞いてみましたが、僕の感覚ではクツワムシの鳴き声に近いように感じました。

なお、クツワムシは10月頃まで活動していますが、8月後半〜9月前半くらいがピークの印象です。

「すいっちょん」と鳴くハヤシノウマオイ

ハヤシノウマオイ

ハヤシノウマオイ

スイーッ、チョン」というユニークな鳴き方をするのが、このハヤシノウマオイ。

実物の音を聞くとなかなか小気味良い音で、この声を聞くとなんだか楽しい気分になるんですよね。

名前の「ウマオイ」も鳴き声からつけられていて、"馬子が馬を追う時の声"に似ていることが由来のようです。

ただ、馬子の声がどんなものなのか分からないので、似ているかどうかは不明なのですが…(Webで少し調べてみたのですが分かりませんでした)

また、ハヤシノウマオイは全長5cmほどで、細長い体型と頭部から胸にかけて濃い褐色帯があるのが特徴的です。

ちなみにハヤシノウマオイに姿のよく似た「ハタケノウマオイ」という種がいます。

こちらは「ジーッチョ、ジーッチョ」と早いテンポで鳴くという違いがあります。

ハヤシノウマオイは名前の通り「林の近く(林縁)」で見られます。

もし「スイーッ、チョン」という鳴き声が聞こえたら(鳴くのは主に夜ですが)、ぜひ耳を澄まして聞いてみてください!

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