カマキリの種類と見分け方!オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリの違いを解説

かっこいい肉食昆虫の代表、「カマキリ」。
一般的には「カマキリ」と一括りに表現することが多いと思うのですが、実は身近に見られるカマキリには複数種がいます。
ただし、お互いに姿がよく似ているんですよね。
ところが、よく見てみるとそれぞれ個性的な特徴があり、ユニークであることが分かります。
というわけで今回は、「よく見るカマキリの種類と見分け方」について紹介します!

執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア
全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。
カマキリの特徴
カマキリとは、「カマキリ目」という分類グループに属する昆虫のことを指します。
大型の肉食昆虫であり、「大きい」「強い」「かっこいい」という特徴を持つ、人気の昆虫です。
カマキリは春〜初夏に卵から孵化をし、夏の終わりから秋にかけて成虫がよく見られるようになります。
虫シーズン的には後半戦を賑やかにしてくれる昆虫です。
次にカマキリの"狩り"に注目してみると、その基本戦術は「待ち伏せ」。
カマキリの細長い姿は「草」への擬態となっていて、カマキリの存在に気付かずに近くにやって来た虫などを狩るのです。

細長い葉に擬態したカマキリ
普通、擬態というと「防御=敵から攻撃されにくくすること」の効果が多い。
ところがカマキリの場合、その擬態は"攻撃"をする際に効果を発揮するのですね。(カマキリの場合でも、防御効果も備えていると考えられます)
大型のカマキリの場合、スズメバチでさえもそのターゲットになることもあります。
このように、カマキリはとても攻撃力の高い昆虫ですが、一方で防御力はとても低い。
攻撃が失敗した場合、逆にやられてしまうこともあります。
カマキリは、攻撃特化型の昆虫なのです。
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カマキリの種類
身近な場所で見られるカマキリにも、複数の種がいます。
それぞれよく似た姿をしているので、特徴と一緒に見分けポイントも紹介します。
オオカマキリ

オオカマキリ
オオカマキリは、林縁近くの草地でよく見られる種です。
国内最大級のカマキリであり、大きいものは全長10cm近くにもなります。
緑色の姿のイメージが強いですが、褐色型のものもいます。

オオカマキリ 褐色型
オオカマキリは後述する「チョウセンカマキリ(単にカマキリと呼ばれることもあります)」とよく似ています。
外見上の主な識別ポイントには
①後翅(うしろばね)の色
②前脚のつけ根の色
があるのですが、①ははねを広げないと見えないので、確認しやすいのは②の方です。
その比較が以下で、オオカマキリは薄い黄色、チョウセンカマキリはオレンジ色をしています。

オオカマキリとチョウセンカマキリの識別
オオカマキリかも?と思ったら胸部(全客のつけ根)を確認してみてください。
チョウセンカマキリ(カマキリ)

チョウセンカマキリ
チョウセンカマキリもオオカマキリと同程度に大きくなる種で、先述した通り、姿もよく似ています。
ただ生息環境には違いがあり、水辺が近くにあるひらけた草地でよく見られます。
湿地や川原で大型のカマキリを見つけた場合は、本種であることが多いです。
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ハラビロカマキリ

ハラビロカマキリ
ハラビロカマキリは名前の通り、腹部が幅広で、オオカマキリなどと比べてずんぐりした印象のあるカマキリです。
"腹部を反り上げるポーズ"をよく取るのも、この種ならではの特徴ですね。
生息環境は林縁で、よく見られるのは草むらではなく「樹上」。
木登りをしているところに出くわす場面も多いです。

木登り中のハラビロカマキリ
また、他種と比べて遅い時期まで観察することができ、12月頃までその姿を見ることができます。
色々と個性の強いハラビロカマキリですが、それでもやっぱり全体的にはオオカマキリなどと似ています。
というわけで、見分けには以下の識別ポイントを確認すると良いです。
①前脚部分に目立つイボ状突起がある
②はねに黄色い斑点がある

ハラビロカマキリの識別ポイント
また、ハラビロカマキリに似た種として、外来種(人為的に持ち込まれた種)の「ムネアカハラビロカマキリ」がいるので注意です。

ムネアカハラビロカマキリ
ムネアカハラビロカマキリはオオカマキリとハラビロカマキリの中間的な姿をしていて、以下のような特徴があります。
①前脚には小さなトゲ上突起がある
②はねに黄色い斑点がある(ハラビロカマキリよりも細長い)
③胸部(内側)が赤い
ムネアカハラビロカマキリは侵略的外来種とのことで、在来ハラビロカマキリの個体数減少など、在来種への影響が懸念されます。
コカマキリ

コカマキリ
コカマキリは、ここまで紹介したカマキリに比べて1回り小さく、細身でスマートな体型の種です。
スマートな体型の分、動きは俊敏な印象で、逃走する時などは忍者のような身のこなしで草むらの中を駆け抜けていきます。
他のカマキリは緑色タイプのものが多い(か、半々くらい)のですが、コカマキリはほぼ褐色タイプです。
生息地はオオカマキリのように林縁なのですが、コカマキリの方がよりひらけた環境を好む印象があります。
コカマキリの外見の特徴であり、識別ポイントでもあるのが「腕にある紋章」です。

コカマキリの腕の紋章
かっこいい紋章ですよね。
ちなみに黒い部分は微妙に青みがかっていて、太陽の光に当たると絶妙に色味が変わります。
ただ、カマキリは腕を並行に重ねて構えることが多いので、腕の紋章がなかなか見えないことがあります。
そんな時は、角度を変えて見たり、見えるようになるまでしばらく待つなど、少し根気のいる観察が必要な場合があります。
その分、かっこいい紋章を見られた時はとても嬉しいのですが。
よく似たカマキリたちですが、こうやって注意深く見るとそれぞれの種に面白い個性があります。
カマキリを見分けることができれば、秋の散歩がより楽しくなると思うので、ぜひ注目して観察してみてください!