赤とんぼの種類と見分け方!アキアカネとナツアカネの違いも解説

秋によく見られる虫に「赤とんぼ」がいます。
赤とんぼというと、ナツアカネ・アキアカネが代表的ですが、実は赤とんぼにはさまざまな種類がおり、それらを見分けられるようになると赤とんぼ観察がもっと楽しくなります!
というわけで今回は、「よく見られる赤とんぼの種類と見分け方」について紹介します!

執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア
全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。
赤とんぼとは
赤とんぼとは、特定の条件を満たすトンボの総称を指しますが、名前のまま「赤いとんぼ」ではありません。
専門的には「アカネ属」という分類グループに属するトンボたちのことを指します。
そのため、「赤い姿だけど赤とんぼではない」「赤くないけど赤とんぼの仲間」という、素人を混乱させる状況になっているのですね。(日常会話で使う分には、赤とんぼ=赤い姿のとんぼ、でも全く問題ないとは思いますが)
例えばショウジョウトンボなどは、真っ赤な姿をしていますが、アカネ属ではないので赤とんぼではありません。

赤い姿だけど赤とんぼではないショウジョウトンボ
ちなみに赤とんぼ(アカネ属のトンボ)のほとんどは赤い姿になりますが、赤い姿になるのは主にオスが成熟(=繁殖ができるようになること)した時。
赤とんぼは実は初夏くらいから活動しているものもいるのですが、その頃はまだ赤い姿ではありません。

5月下旬に出会ったマユタテアカネ
成熟して姿が赤くなるのは9〜10月頃。
なので、赤とんぼは「秋」のイメージなのですね。
赤とんぼの見分けポイント(アキアカネとナツアカネの違い)
赤とんぼの見分けポイントとしては「はねの模様」と「胸部の模様」が重要になります。
まず「はねの模様」でざっくり候補を絞り込みます。
・はねにほとんど模様がないもの → アキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネなど
・はねの先端が濃いもの → ノシメトンボ、コノシメトンボなど
・はねの先端の少し内側に濃い帯がある → ミヤマアカネ
・はねの付け根に広めの黄色い模様がある → ネキトンボなど
はねの模様でざっくり絞り込みができたら、次は「胸部の模様」を見ます。
例えばナツアカネとアキアカネでは、胸部の「真ん中の黒い線の先端」を確認することで見分けることができます。

アキアカネとナツアカネの違い
赤とんぼは似た姿のものが多く見分けが難しいものも多いのですが、上記により身近な種の多くは識別が可能です。
屋外で出会った赤とんぼを後で識別する場合、上記2つの部位を意識して撮影しておくと良いでしょう。
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赤とんぼの種類
赤とんぼには多様な種がいます。
ここでは「身近な赤とんぼの仲間」「赤とんぼに似た姿のトンボ」について紹介します。
赤とんぼ(アカネ属)の仲間
■アキアカネ

アキアカネ
代表的な赤とんぼ。"夏は山に移動して過ごす"という習性を持ちます。
秋になると平地で見られるようになり、11月の終わり頃まで見ることができます。
■ナツアカネ

ナツアカネ
代表的な赤とんぼ2種目。アキアカネと異なり、ナツアカネは夏も低地で過ごします。
オスは成熟すると頭部まで真っ赤になります。(アキアカネは頭部までは赤くならないので、それも識別ポイントの1つ)

成熟したナツアカネのオス
■マユタテアカネ

マユタテアカネ
"顔に眉のような紋があること"が名前の由来。

マユタテアカネの顔
が、実はこの顔の特徴は他のトンボでも持っているものがおり、これだけで種を特定はできません。
はねに模様がなく、胸部の黒い線があまりなく、オスの腹端が強く上に沿っているのがマユタテアカネの特徴です。
■ノシメトンボ

ノシメトンボ
はねの先端が濃くなっています。
同様の特徴を持つトンボ内では、"胸部の黒線が太く、真ん中の線が上端に繋がっていること"で見分けられます。
ちなみに成熟したノシメトンボの赤色は、他種と比べてちょっと鈍めのカラーリングです。

成熟したノシメトンボ
■コノシメトンボ

コノシメトンボ
ノシメトンボに似ていますが、胸部の模様が「逆Uの字」になっているのが識別ポイント。
■ミヤマアカネ

ミヤマアカネ
はねの先端の少し内側に濃いエリアがあるのが特徴的。このはね模様のおかげか、華やかな印象のある赤とんぼです。
■ネキトンボ

ネキトンボ
胸部に2本の太い黒線があり、はねの付け根が黄色(赤色)のトンボ。特徴がはっきりしているので見分けしやすい種です。
赤とんぼに似た姿のトンボ
■ショウジョウトンボ

ショウジョウトンボ オス
赤とんぼよりも赤いトンボ。はねの付け根も赤っぽい。赤とんぼと違い、夏から真っ赤な姿になっています。
メスは以下のように黄色っぽい姿をしています。

ショウジョウトンボ メス
■ウスバキトンボ

ウスバキトンボ
北上しながら発生を繰り返す、という習性を持つトンボ。(ただし、日本の多くの地域では越冬できず死んでしまう)
赤とんぼとは止まり方が違い、葉などにぶら下がるような姿勢になるので、赤とんぼに混ざっていても気付けます。
赤とんぼには多様な種が存在しており、身近な公園などにも実は複数種がいたりします。
赤とんぼを見分けることができれば、秋の散歩がより楽しくなると思うので、ぜひ注目して観察してみてください!