コガネムシ、ハナムグリ、カナブンの違いは?それぞれの見分け方を解説

コガネムシ

春〜夏に屋外でよく目にする昆虫に、「コガネムシ」「ハナムグリ」「カナブン」がいます。

それぞれ「コガネムシ科」というグループに属する昆虫ですが、それぞれよく似ており、虫に詳しくないと見分けが難しいかもしれません。

しかしそんな彼らの見分け方を知っていると、散歩などで虫に出会うのが楽しみになりますよ!

というわけで今回は、「コガネムシ、ハナムグリ、カナブンの違いと見分け方」について紹介します!


執筆者: 亀田恭平 ネイチャーエンジニア

全国各地で観察した生き物たちの魅力をアプリやブログなどで発信中。もりみらい いきものゲームズの開発者。今まで出会った動植物は「5,000種」以上。書籍「弱虫の生きざま」。

コガネムシ、ハナムグリ、カナブンの特徴と見分け方

コガネムシ」「ハナムグリ」「カナブン」はそれぞれ「コガネムシ科」というグループに属する昆虫です。

コガネムシ科全体ではさまざまな特徴を持つものたちがいて複雑になるので、ここでは"身近によく見られる種"に限って見分け方を解説します。

コガネムシとハナムグリ・カナブンの見分け方

まずは「コガネムシ」と「ハナムグリ」「カナブン」の見分けポイント。

それは「小楯板(しょうじゅんばん)」と呼ばれる、はねの付け根の三角マークです。

コガネムシの場合は小楯板が丸く、ハナムグリ・カナブンの場合は小楯板が三角形です。

コガネムシ ハナムグリ

コガネムシとハナムグリの違い

というのも実はカナブンは「ハナムグリ亜科」というグループに属しており、実はハナムグリの仲間なのですね。

コガネムシの仲間の体型は丸みがあり、ハナムグリの仲間の体型は四角っぽいという点も、見分けのヒントになります。

また両者には「飛翔の仕方」にも違いがあります。

コガネムシの場合は前ばねを開いた上で後ろばねを動かして飛翔するのに対し、ハナムグリの仲間は前ばねは閉じたまま後ろばねだけを動かして飛翔します。

そのためハナムグリの仲間の方が飛び立ちが早く、飛翔が上手なのです。

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カナブンとハナムグリの見分け方

カナブンとハナムグリの見分けポイントは、「体に白い斑点があるか」です。

身近に見られるハナムグリには白い斑点があり、カナブンには白い斑点がありません

ハナムグリ カナブン

ハナムグリとカナブンの違い

また、ハナムグリとカナブンは「えさ(食べるもの)」も違います。

カナブンは樹液に集まり、ハナムグリは主に(樹液に集まるものもいますが)に集まります。ちなみにコガネムシの仲間は主にを食べます。

このように、「その虫が見られた場所」も見分けのヒントになるのです。

それぞれまとめると、以下のようになります。

 コガネムシハナムグリカナブン
小楯板丸い三角形三角形
体型丸みがある四角っぽい四角っぽい
飛翔前ばねを開く前ばねは閉じたまま前ばねは閉じたまま
種ごとに様々な姿白い斑点がある(身近に見られる種では)白い斑点はない
えさ樹液

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コガネムシ、ハナムグリ、カナブンの種類

コガネムシ、ハナムグリ、カナブンにはそれぞれ多様な種がいます。

ここではほんの一部ですが、多様な仲間の姿を紹介します。

コガネムシの仲間

■コガネムシ

コガネムシ

コガネムシ

ザ・コガネムシ。「黄金虫」の名にふさわしい、美しく緑色に輝く虫。

■マメコガネ

マメコガネ

マメコガネ

小さくて可愛らしい姿のコガネムシですが、繁殖力が強く、色々な植物に集まっているのをよく見ます。

米国に移入されたマメコガネは現地の農作物を食い荒らし、「ジャパニーズ・ビートル」と恐れられています。

■アオドウガネ

アオドウガネ

アオドウガネ

他のコガネムシと比べて光沢は鈍いが、その鈍い緑色の姿が逆に個性的な種。

都市部でもよく見られるコガネムシの仲間。

ハナムグリの仲間

■アオハナムグリ

アオハナムグリ

アオハナムグリ

鮮やかな深緑色が美しいハナムグリ。類似種のハナムグリと比べて毛が少ない。

■クロハナムグリ

クロハナムグリ

クロハナムグリ

春〜初夏によく目にする黒いハナムグリ。白と黒のツートーンカラーが特徴的。

■シロテンハナムグリ

シロテンハナムグリ

シロテンハナムグリ

樹液に集まるので、虫に詳しくないとカナブンと混同しがちな種かと思う。

類似種にシラホシハナムグリなどがいる。

■リュウキュウツヤハナムグリ

リュウキュウツヤハナムグリ

リュウキュウツヤハナムグリ

先ほどカナブンとハナムグリの見分け方で、「身近に見られるハナムグリ」としたのは、例外があるためです。

このリュウキュウツヤハナムグリもその例外の1種であり、本種はカナブンではないですが、体に白い斑点はありません

元々九州から南西諸島に分布する美しい虫ですが、人の手で移入されて東京でも見られるようになってしまっています。

カナブンの仲間

■カナブン

カナブン

カナブン

昼の樹液場でよく見る種。飛翔が上手で、逃げ足がとても速い。

■クロカナブン

クロカナブン

クロカナブン

黒い姿のカナブン。個体変異による黒いカナブンもおり、正確な見分けには脚の付け根を確認する必要がある。

このように、コガネムシ・ハナムグリには実に多様で面白い種が存在します。

これらの虫たちを見分けることができれば、日常の散歩やハイキングがより楽しくなると思うので、ぜひ注目して観察してみてください!

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